薪ストーブを囲む家庭。そこにはきっと幸せがあるはず。
なんて暖かい家庭なんだろう!薪ストーブの炎に癒される!時間を忘れる安らぎがある!なんて想像すると、お値段や手入れの手間なんて全く苦にならないですよね。
「しかしちょっと待って。」
あなたは良くてもご近所への目配り気配りは忘れないでくださいよ。
【薪ストーブ】ご近所迷惑ですよ。おたく
ご存知ですか?
薪ストーブって正しい知識とスキルを持っていないと、ものすごくご近所迷惑なんですよ?
自宅で薪ストーブを使っておられる方は、近所迷惑についてどのように考えておられるのでしょうか? 田舎の小規模な新興住宅地に住んで居るのですが、我が家より数年後に建てられたお隣さんが薪ストーブを使っておられます。我が家との間は約3メートル。煙突は我が家の2階廊下にある小窓の真横なので冬の間は窓を開けられません。お隣さんは住宅地の中では風上になる為、煙や臭いは我が家の方へ流れてきます。窓を閉めていても24時間換気の換気口から家に中に入ってきます。この辺りは田舎なので田畑の野焼きも有りますが、毎日ではないので我慢できます。しかし、薪ストーブは冬の間毎日なのでイライラしてしまいます。リビングは人の出入りがあるので空気が流れる為、臭いもマシですが、2階の寝室は寝に行く頃には臭いが充満しています。
何を考えて、住宅地の風上になる家に薪ストーブを付けるのか…煙突を隣家の窓の横にするのか…理解できません。
お隣さんのなので、どうどうと文句も言えませんが、薪ストーブを付けた方は文句を言われる覚悟で付けておられますか?数年、我慢しているのでそろそろ迷惑だと伝えたい気もします。
同じように困っておられる方、何か良い臭い対策はありませんか?(24時間換気は止められません)(出典:http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2014/1128/690976.htmより)
こんな苦情が全国で殺到しています。
そもそも考えておくべきは、あなたが”薪ストーブ”に心酔していても、多くの人々にとって”薪ストーブ”は身近な物ではないということを理解しておく必要があります。
そして、このようなご近所のトラブルは大きくなりきった状態で、当事者のあなたの元へ届いてきますので対処の仕様がない状態になっているとも言えます。
【薪ストーブ】煙と臭いの原因は?
そんな薪ストーブのご近所迷惑の原因は、”煙と臭い”に集約されます。
「そりゃあ、薪を燃やすんだから煙が出るのは仕方がない」という理屈は通りませんよ。
そもそも煙の出る原因を確認して行きましょう。
【薪ストーブ】臭いの原因
薪が燃えるプロセスをちょっと細かく見てみましょう!
①薪に火をつける→可燃性ガスが発生する
②可燃性ガスに酸素が結合することで燃える
(この時全ての可燃性ガスが酸素と結合すると煙は出ない)
③酸素と結合しなかった可燃性ガスは、煙突内で冷やされると
煤(スス)になる。
(そもそも薪ストーブの燃焼効率は良くない)
まず、ご近所迷惑の1つにあげられる”臭い”はこの煙突内にこびりついた煤(スス)の臭いなんです。
(出典:https://outbums.com/diy/selfbuild/stove-in-town/より)
しっかりと知識とスキルを身につけると1シーズンで出る煤(スス)は、この程度の分量のようです。毎日の火を起こす最初の方は、どうしても薪ストーブ全体が冷えているので煙や煤(スス)を抑えるのはできないようです。
だからこそ、最低限で抑えられるような知識とスキルが必要だということですね。
この臭いによって、ご近所さんにとっては洗濯物や布団を干した時に臭いがつく(ただでさえ冬場は乾きにくいのに!?)
また、「火事かしら?」っていう不安が常に付きまとうんですよ。
(かつて、「地震・雷・火事・親父」といったように天災の次に怖いものなんで、みんな不安なんですよ)
【薪ストーブ】煙の原因
そして、煙です。
一番気をつけるべきは、燃料となる薪選びでしっかりと乾燥したものを使うことです。
目安は乾燥期間2年ほどと言われていますが、最低でも1年以上は乾燥させた物を使ってください。
というのも、上記でも書いた通り薪ストーブ炉内の温度をしっかりと高めていくことが使用上の大きなポイントになるんですが、薪自体をしっかりと乾燥させずに水分を持ったままだと不完全燃焼になってしまう訳ですね。
そうすると煙がたくさん出て、煤(スス)の発生を促しているようなものなんです。
(この煙がたくさん出るのは、キャンプで落ちている気を燃やして見るとわかりますよ)
薪ストーブのユーザーにとって、薪の調達コストは毎年のことなので頭の痛いところですが、しっかりと乾燥させた薪を調達するようにしてくださいね。
漫画では煙突掃除の場面がよく出てきましたけど、実物を見るのは初めてかも?!
【薪ストーブ】煙突選びは”引き”で決まる!
ど素人の我々のイメージでは、「薪を燃やしたら煙が出てくるのは当たり前で、その煙を外に排出するための煙突」という感じではないでしょうか?
実はコレ、間違いのようなんです。
そもそもなぜ煙突が必要かというと、熱が高くなると上昇気流(ドラフト)が発生します。(小学校のストーブの上って、蜃気楼みたいになっていたでしょ?)
その上昇気流を放出することで、炉内には代わりに酸素が入ってくるようになっているんです。それによって、可燃性ガスがしっかり燃えるようになって完全燃焼に近くなっていくんですよ。
そして良い煙突の条件として2つ言われることがあります。
それは、「長い煙突」と「二重断熱煙突」です。
「長い煙突」になればなるほど、酸素を取り込む力が強くなるんです。
これを”煙突の引き”というようです。そして、極力高くすると単純にご近所さんのお宅よりも高い場所から煙を放出するので、ご近所迷惑にならないということに繋がります。
薪ストーブ設置の際は、自治体へ高さ制限の確認などが必要ですね。
「二重断熱煙突」については、煤(スス)の部分でも少しご説明したように、薪ストーブ自体の温度が上がるまでの煙や煤の発生は致しかたありません。
そのため、夜間に冷えすぎないよう断熱された煙突を設けるという考え方になるわけです。
このタイプの煙突は高額になるようですが、将来的なメンテナナンスのことを考えると煤の量を減らすことに繋がるので投資と考えると良さそうだなと思います。
※高さが取れない場合は、二重断熱はマストと言えますね。
まとめ
いかがでしたか?
薪ストーブは、近隣の方への目配り配りが非常に重要です。
設置した後も、火起こしの時に周辺を歩いて煙の流れがどうなっているかとか、火が安定してきた時にも煙の流れがどうなっているのかを、自分の目で確認することを忘れないでくださいね。
そもそもの大前提として、新築で引っ越すなり既存住宅に薪ストーブを取り付けるなりするときは、周辺のお宅へ「薪ストーブがあります。慣れるまでは煙と臭いでご迷惑おかけします」とご挨拶しておく方が良いでしょうね。
煙と臭いで119番通報されてしまう恐れがありますよ。